できないことをやる

数年前、体操クラブに勤めているときのエピソードです。

ある会員さんが事務所に来られ、こう言いました。「なかなか逆上がりができるようにならないので、今月いっぱいで体操をやめようと思っています。」
当時のヘッドコーチは迷わずこう返しました。「やめてしまったら、できないままじゃないですか。できないから続けるんです。安心してください。お子様は成長していますよ。」

この言葉は近くで聞いていた僕の心に刺さりました。
僕は子供たちにやらせるだけでなく、「できないこと」に挑戦しているだろうか?そして子供たちの小さな成長に、些細な変化に気づけているだろうか?と。

挑戦することは恐怖や違和感が伴います。大人であってもそう感じるのですから、子供は尚更です。
子供たちができないことや苦手なことに向き合うためには、大人のサポートが必要です。それは適切な言葉のアプローチではなく、大人たちが挑戦する姿を見せ続けることだと思います。「大人になったら難しいから、子供のうちにチャレンジしなさい。」というのは言い訳です。

僕はこれからもずっと、できないことに挑戦し、失敗し続けるかっこいい大人を目指していきます。